私が購読している月刊誌があります。10数年、毎月購入しており、欠かしたことはありません(記憶の限りでは)。それは、文藝春秋の総合文芸誌の月刊文藝春秋、それとニュートンプレス社の科学雑誌であるニュートンです。
私の通勤用の鞄には、文藝春秋かニュートンの何れかが入っています。通勤と帰宅の時間帯を読書時間としています。
文藝集春秋が毎月10日の発売、ビュートンが27日前後です。何れかの雑誌が読み終わると頃に、もう片方の雑誌の発売日という循環です。現在(2008年10月3日)は、ニュートン11月号を読んでいます。そのニュートンですが、今月号はNASA(米国航空宇宙局)の設立50周年特集です。何で日本の雑誌でNASA50周年記念号なのかという気もしますが、人類の宇宙開発の歴史上、NASAの果たした役割や功績は大きいものがあるのも事実ですから、その50年を振り返るのも興味深いですね。
ところで、NASAとコンピュータの歴史は切っても切れない関係があります。コンピュータ無しでは、宇宙開発成り立たなかったですし、コンピュータの発達にはおける宇宙開発の歩みを同様です。
米国の宇宙開発の歴史において、最も栄光に包まれた計画はアポロ計画であったこと議論の余地なきことと思います。1969年7月20日、月着陸船イーグル号が月面に着陸、人類が地球以外の天体に始めて降り立ちました。そのアポロ計画ですが、コンピュータ無しではとても実現できなかったと言われています。三人の宇宙飛行士を月までおくり、帰還させるためには、その軌道を正確に計算しなければならず、その計算はと地球と月、そして宇宙船に働く重力を考慮にいれた複雑なものです。当時の最新鋭最高性能のコンピュータとて、現在のパソコンと比較した場合、遥かに下回る演算能力であったのに、よく計算できたものです。実際、よくアポロ宇宙船の飛行を制御できたものだ、という評価もあるようです。私は、ハードやソフトウェアではなく、その利用方法、ノウハウが優れていたのだと推測しています。
アポロ計画後、スカイラブ計画やソ連(若い方にとっては私語かもしれません)との共同である、アポロ・ソユーズ計画の後は、太陽系内の惑星への無人探査機による惑星観測が主流になります。火星、木星、土星やなどへの無人探査機が打ち上げられます。それらの無人探査機は、一直線に目標惑星と会合点を目指したのではありませんでした。理論的には可能であっても、地球や太陽の重力、場合のよっては木星土星という巨大ガス惑星の引力に抗していくことは容易ではありません。一定上の推進力を維持する必要がありますが、そのためには、当然に多くの燃料が必要であり、探査機が重くなってしまいます。
燃料の節約のため、惑星の重力を利用し加減速する事が考案されました。加速したいときは利用する天体方向に無人探査機のコースを変え、当該惑星の引力に引っ張られることで加速し、減速する際には当該惑星の公転方向と逆向きコースで、探査機をすれ違いさせることで、引力が速度が相殺されることで、速度が抑えられます。この方法を利用するためには、無人探査機の軌道を精密に計算する必要があります。軌道を間違えると当該惑星へ衝突するなどのリスクがあります。惑星の軌道や引力を考慮し、無人探査機の軌道を計算することは、人力では現実的には無理でしょう。
IBMのメインフレームのOSを構成する極めて重要なサブシステムに、Job Entry Subsystem (JES、ジョブ入力サブシステム)、JES2とかJES3と呼ばれるものがあります。私も、散々お世話になり、また苦しめられました。このサブシステムは、元々はIBM がNASAのために設計、開発したHASP ( the Houston Automatic Spooling Program ) が発展したものです(IBMではなく、NASA自身が開発したという話も聞いたことがあります)。このHASPが汎用化され、発達し、JESと名称をかえつつ、現在のIBMメインフレームの最新シリーズである、z/OSにおいても重要なサブシステムとして、存在し続けています。
このようにNASAにおける宇宙開発では、ボーイングやロッキード、フェアチャイルドといった巨大航空宇宙関連(軍事)企業だけでなく、IBMも重要な役割を果たしてきたと言えます。
コンピュータの支援によって、宇宙開発は実現し、宇宙開発によってコンピュータの発展が促されていました。
コンピュータの発達と宇宙開発、不即不離に関係であると言えます。互いに影響を与えながら、共に発展してきたと言えるでしょう。そして、そのコンピュータが高性能化、小型化し、個々の家庭に常備され、持ち歩かれ、インターネットによりネット化され、現在の状況に至りました。
と、ニュートンのNASA50周年特集を読みつつ、思ったのでありました。
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