2015年6月5日金曜日

政府が新高等教育機関の設置方針を発表


政府より、新たな高等教育機関の設置方針が発表されました。
新高等教育機関は、既存の短大や大学を転換する方式をとり、職業教育機関とする方針のようです。

小生の亡父は、旧制の中等学校を卒業後、旧制高等学校には進学せず、旧制高等工業学校、のちの旧制工業専門学校に進学しました。
当時の学制では、旧制高校進学者は帝大や医科大学に進学し学者や官僚、研究者を目指し、旧制の高等工業学校、高等商業学校など高等実業学校は、技術者や実務家の養成なんですね。

法政大学の田嶋陽子教授が、大学とは異なる高度な技能者を養成する職業教育機関を提案していました。現在も「ものつくり大学」がありますから、目新しい考えでも無い気がします。
自分は、田嶋氏の発言の大半に反対なのですが、其の点に関しては賛成でしたね。

大学を「職業教育学校」に…19年度実施方針

参考までに亡父の経歴
旧制北海道立札幌第二中等学校(現北海道立札幌西高等学校)入学
旧制福岡県立筑紫中等学校(現福岡県立筑紫丘高等学校)に転校、同校卒業
昭和18年(1943年)1月、東京都の官制施行に伴い、東京府を廃止して東京都発足
昭和18年(1943年7月、東京府立航空高等工業学校をを東京都立航空高等工業学校に改称
旧制東京都立航空高等工業学校発動機設計科に入学
昭和19年(1944年)2月、専門学校令改正
昭和19年(1944年)4月、旧制東京都立航空高等工業学校を旧制東京都立航空専門学校に改称
昭和21年(1946年)4月、旧制東京都立航空専門学校を旧制東京理工専門学校に改称
旧制東京理工専門学校を卒業
昭和24年(1949年)4月、新制都立大設立にともない工学部に吸収

学制改革前は、旧制中等学校は五年制でした。単純な比較は問題ですが、現行の制度だと中間一貫校に相当しますね。初等教育後の中等教育を担う学校でした。
現在の高等学校は後期中等教育に位置付けられており、文部科学省における所管部署も初等中等教育局なんですね。大学や専門学校など、高校卒業以上の学歴者を所管するのが高等教育局です。
戦前の旧制高等学校、旧制高等実業学校、旧制医学専門学校、旧制女子専門学校などが、高等教育機関でした。

現在の大学は、あえて比較すると一二年時が旧制高等学校、旧制専門学校に相当します。三四年時が大学院修士課程相当でしょうか。
旧制高等学校を卒業すると、大学学部学科を選ばなければ、帝國大学も無試験だったそうです。作家の阿川弘之氏も、旧制広島高等学校を卒業後、東京帝国大学文学部国文学科に、、無試験で入学したそうです。

今回の政府案は、高等教育の位置付けられる短大、大学相当の新教育機関と目論んでいるのかもしれません。自分は、亡父の経歴から考えて、今回の政府案、賛成です。
ただ、現在の専門学校と区別、学位、卒業後の資格認定など課題も見え隠れします。政府案の明らかになるのを、一刻も早く待ちたいです。

以下蛇足1
専門学校令改正後も旧制高等商船学校は変更がありませんでした。それは、旧制高等商船学校生徒は、入校と同時に海軍の軍籍に編入、身分が高等商船学校生徒兼海軍予備生徒になる制度だったからです。
海軍予備生徒、なかなか偉いです。街なかでは、兵卒は先に敬礼しなければいけません。伯父は、高等商船学校に入行した海軍予備生徒でした。亡父が、軍服姿の写真を大事にしていましたが、なかなか様子の良いものでしたね。現在も、実家の母と兄が大事にしています。

蛇足2
旧制中等学校卒業者が進学した、国家のエリートを育成した教育機関が、別途存在しました。陸軍士官学校と海軍三校(海軍兵学校、海軍機関学校、海軍経理学校)です。









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