以下は、産経新聞Webよりの引用です。
イージス情報、1尉元教官から拡散
海上自衛隊第1護衛隊群(神奈川県横須賀市)の2等海曹(33)がイージス艦の中枢情報などを持ち出していた事件で、流出した情報は海自第1術科学校(広島・江田島)元教官の1尉(48)が、学生ら30人以上に内容をコピーさせたことで拡散し、最終的に2曹に渡っていたことが24日、神奈川県警と海自警務隊の調べで分かった。流出情報には「特別防衛秘密」に該当するものが含まれ、海自の秘匿性への認識の甘さと、ずさんな情報管理が改めて浮き彫りになった。
教材…30人以上から複製
調べでは、流出したイージス艦中枢情報は、海自艦艇のコンピューターシステムの保守・管理を担当する「プログラム業務隊」(既に解散)に所属していた3佐(43)が作成。幹部教育用の資料としてパソコンのファイルに保存していた。
このファイルのコピーが繰り返され、横須賀地方隊の護衛艦「しらゆき」に勤務する3曹(30)に渡り、2曹は3曹からファイルごとコピーしていた。2人は護衛艦「はつゆき」での勤務で接点があった。
その後の調べで、第1術科学校の教官だった1尉がプログラム業務隊の3佐が作成したファイルと同一のファイルを所持していることが判明。1尉は捜査当局の聴取に「指導した学生に教材の一種として複製させた」と供述しており、学生ら30人以上が同じファイルをコピーしていたことが新たに分かった。
3曹は術科学校とは無関係で、学生らに流れたファイルを何らかの形で入手したとみられる。
1尉はファイルの入手元について「覚えていない」としているが、術科学校の同僚教官だった別の3佐(43)も同じファイルを所持しており、この3佐が着任するまでは1尉がファイルを入手していなかったことなどから、捜査当局はまず、作成者の3佐から術科学校の元教官の3佐へファイルがコピーされたとみて調べている。
第1術科学校は主に艦艇に乗り組む幹部に砲術、水雷、掃海、航海、通信などの専門知識や技能を習得させる幹部養成機関。イージス艦についての教育も行われていた。
一方、防衛省は24日、第1回目の「情報流出対策会議」を開催、再発防止策を徹底させる「特別行動チーム」の編成などを決めた。
(2007/04/25 08:01)
プログラム業務隊の三等海佐 幹部教育用に作成
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第一術科学校の三等海佐 教官 教材用にコピーし保管
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第一術科学校の一等海尉 教官 教材用にコピーし保管
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第一術科学校の学生、教官 ファイルのコピー
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護衛艦「はつゆき」 三等海曹 ファイル入手 経緯は不明
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護衛艦「はつゆき」 二等海曹
(以上の経路図も産経新聞より)
問題の機密情報ファイルは、何段階もの階層で多くの関係者により複写が繰り返されたようです。電子データですから、何回コピーしても劣化することはありません。しかし、何回ものコピーで明らかに劣化するものがあります。しかも、海上自衛隊だけでなく、あらゆる組織で懸念されるのです。それは、「規範意識」です。このファイルも最初段階では、限定された幹部教育用資料であったのしょうが、コピーが繰り返されて、規範意識も薄れていくうちに問題の二等海曹の手に入ったものと推測されます。
情報セキュリティ、どんな管理策、リスクコントロールを導入しても、最終的には当該組織の規範意識に大きく依存するという実例として、今後の報道を注視していく必要がありますね。
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