しかし、考えるべきことがことがある。なぜ、父親は6歳の幼児を連れて、五頭連峰で登山をしようと考えたのか。
新潟県阿賀野市観光協会のホームページによると、五頭連峰は5月初頭でも残雪があるとのこと。加えて、登山口の標高は70メートルだが五頭連峰最高峰松平山の山頂は953メートル。標高差は、883メートルということになる。残雪のある山を幼児を連れて、標高差883メートルの登山を行おうとしたことに疑問が残る。
自分は、大学のWV部で登山経験があるが、883メートルの標高差を登るには、周到な準備が必要なことが容易に想像できる。また、少なくとも中学生以上の体力が必要でないか。
産経新聞の記事では、父親が道に迷ったのでビバークすると携帯電話で連絡があったとしている。ビバークという登山用語を知っていると言うことは、山登りの経験があったと思われる。しかし、それであるならば、尚更6歳の幼児をつれて残雪のある5月初旬に登山をするという計画に疑問が残る。
朝日新聞の報道では、子供が父親に覆い被さるように倒れていたという。寒さに震える子供を、何とか温めようとしたのだろう。
観光協会の案内にも疑問がある。
「ルートが多彩で、小学生から熟練者まで楽しめる」
「前後左右、様々な場所に登山口があり、年齢、体力、目的により自由にコースを選べることが五頭連峰の最大の魅力」
どうだろう。幼児を連れても大丈夫だだと誤解を招きそうな文言である。毎日新聞の記事を引用しよう。
「五頭連峰の登山に詳しい新潟山岳会の阿部信一会長(70)の話 この時期でも斜面には雪が多く残り、登山道から外れて沢に迷い込んでしまったのではないか。周辺には高さのある滝が連続する場所もある。この時期に沢を下るにはロープなど一定の装備や技術がないと初心者では非常に厳しい。」
自分も、その通りだと思う。
自分は、大学三年生の夏、体育会WV部の夏合宿で朝日連峰に登頂した。台風の直撃を食い、テントごと吹き飛ばされて、近くの山小屋で避難した。小屋は、避難した登山客で満杯、体力のある大学生は立ったまま、台風の通過を待った経験がある。空腹と寒さで体力が消耗し、もう二度と山など登るものかと思ったものである。山は、例え夏でも危険が隣り合わせである。昨今の登山ブームに危機感を持つ、今日この頃である。
亡くなった、親子のご冥福をお祈りします。
不明の父子と判明 新潟・五頭連峰の遺体
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