連合王国は、国際連合の常任理事国でG7加盟国、そして核兵器の保有が公式に許されている5国一つでもあります。その世界情勢における大国が揺らいでいます。
2014年9月19日、スコットランドで投票された住民投票は、独立派の敗北に終わりました。しかし、この国民投票で離脱派が勝利すれば、スコットランド独立派は改めて独立の是非を問う住民投票を目指すことを公言しています。
スコットランド議会は、独立派のスコットランド民族党が多数です。つまり、EU残留を問う国民投票は、スコットランド独立論議に直結しています。
スコットランドの独立否決 - イギリスという国名呼称に思う
スコットランドの独立否決 - イギリスという国名呼称に思う Ⅱ
そして、スコットランドの独立は北アイルランドの独立、もしくはアイルランド共和国との統合問題に直結しかねません。それは、連合王国政府以外の何者でもないでしょう。
もし、EU離脱派が勝利し、スコットランドの独立、アイルランドと北アイルランドの統合は現実のものになった場合を考えてみました。
スコットランドの政体
イングランド王国ととスコットランド王国で締結された1707年の連合法により、グレートブリテン王国成立、イングランド議会とスコットランド議会が統一。
アイルランドの政体
グレート・ブリテン王国とアイルランド王国との間で締結された1800年の連合法により、グレート・ブリテン及びアイルランド連合王国が成立、グレーブリテン議会とアイルランド議会が統一。
グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国へ国名変更スコットランドが独立した場合、共和制なのでしょうか。それとも、イングランド王との同君連合になるのでしょうか。独立後の政体に関しては、スコットランド独立派内でも複数の意見があり、統一された考えはないようです。
1927年、アイルランド自由国がグレート・ブリテン及びアイルランド連合王国から分離。
国名をグレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国へ変更。
(アイルランドの内、北部アイルランドが連合王国に残留)
スコットランド域内には、連合王国の重要な海軍基地があります。それはクライド海軍基地で、連合王国唯一の戦略任務原子力潜水艦の根拠地となっており、もし独立で退去になれば、連合王国の核戦略に大打撃になります。連合王国政府と王立海軍としても何としても、スコットランド独立を阻止する必要があると考えていると思われます。
アイルランドは、連合王国に属する北アイルランドとアイルランド共和国によって統治されています。北アイルランドは、王党派とアイルランド共和国への帰属を望む共和派が、血で血を争う抗争を繰り広げ、連合王国内政上の癌でした。現在は、独立過激派の多数が、武力闘争を放棄したこともあり鳴りを潜めていますが、EU離脱により、北アイルランド問題が再燃しかねません。
このように、連合王国のEU離脱は、チェコ・スロバキアがチェコ共和とスロバキア共和国に分離したビロード離婚と違って、国際社会の大きな影響があります。
連合王国は、国連安全保障理事会常任理事国であり、核兵器の保有国であり、EUの主要加盟国であり、G7の加盟国でもあります。その大国の将来は、国際社会に重要な影響を与えます。
帝國海軍は大英帝國海軍に範をとりました。また、日英同盟による協力があってこそ、日露戦争を乗り切ることができました。同じ島国でもあり、立憲君主制で、君主を仰ぐ国でもあります。
連合王国が、混乱の中で分裂するような事態に立ち行かないように、強く望んでいます。
その国民投票が行われるのが、2016年6月23日。連合王国の行く末を見守っております。
0 件のコメント:
コメントを投稿