MRJは、国産初の民間旅客機YS-11以来の我が国航空産業界の悲願、願望でありました。
YS-11は、官民共同の特殊法人の日本航空機製造が製造販売を担当しましたが、総数182機で生産を中止、結局赤字で終わりました。同規模の旅客機が黒字で終わっていることを考えると、商業的には成功とは言えませんでした。
また、YS-11の設計を担当した技術陣は、零式艦上戦闘の主任技師、堀越二郎氏、一式戦闘機の機体班長、太田稔技師、空力班長の糸川英夫技師など錚々たるものでした。
しかし、如何せん軍用機の設計、しかも戦闘機の設計であったせいか、その操縦性などには問題があったと言われています。また、国産と言いながら、重要な計器類なども外国産に頼ったようです。
それでも、占領軍に航空機産業が禁じられ、長い空白期間を余儀なくされた状況の中で、技術者達は持てる力を精一杯発揮したのだと思います。
筆者の亡父は、福岡県の県立旧制中等学校を卒業後、東京の旧制航空工業専門学校の発動機設計科に入学、技術者を目指して言いました(同時に、海軍の技術科の海軍予備生徒を目標にしていたようです)。しかし、在学中に敗戦となり、占領軍の指令の航空機産業の禁止令で、自らの希望を残念せざるを得なくなりました。
その亡くなった父が、今回のMRJの初飛行を天国でさぞかし喜んでいると思うと、感慨深いものがあります。
今回のMRJは、日本の産業界にとって、どれだけ大規模なものであったかは、三菱航空機株式会社への出資企業を見れば分かります。
出資企業 | 出資比率 |
三菱重工業 | 64.0% |
トヨタ自動車 | 10.0% |
三菱商事 | 10.0% |
住友商事 | 5.0% |
三井物産 | 5.0% |
東京海上日動火災保険 | 1.5% |
日揮 | 1.5% |
三菱電機 | 1.0% |
三菱レイヨン | 1.0% |
日本政策投資銀行 | 1.0% |
100% |
三大商社、トヨタ自動車なども出資しており、その期待の大きさが想像できます。
まだまだ、初飛行なので、これから商用ベースに乗るまでには紆余曲折あると思いますが、日本航空界の悲願達成のため、関係者の皆さんには頑張って頂きたいと思います。
夢を乗せて離陸、53年ぶりに国産旅客機が初飛行
【動画】MRJ初飛行 夢を乗せて離陸
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