2006年12月12日火曜日

住基ネット裁判 高裁の判決が割れました

住基ネットに対しての住民訴訟で、前回の大阪高裁に続き名古屋高裁でも判決がでました。しかし・・・・

以下は、産経新聞Webからの引用です。

住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の運用はプライバシー権を侵害し違憲などとして、石川県の住民28人が県などに個人情報の削除などを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁金沢支部の長門栄吉裁判長は11日、「住基ネットはプライバシー権を侵害するものではなく、憲法13条に違反しない」として、個人情報の削除を命じた1審の金沢地裁判決を取り消し、住民側の請求を棄却した。
 住民側は上告する方針。
 住基ネット訴訟では昨年5月、金沢地裁が初めて違憲と認め、大阪高裁も先月30日、違憲判決を出したが、ほかは住民側が敗訴。大阪高裁判決を受けて、大阪府箕面市は7日、上告断念を表明していた。
 長門裁判長は判決理由で、住基ネットで扱う氏名、住所、生年月日、性別、住民票コードなど本人確認情報は、個人の人格的自律や人格的生存に直接関係するものではないと指摘。 「公権力が正当な理由に基づき、本人確認情報を収集、管理、利用することは『公共の福祉』による制限として許される」とした。
 住基ネットによる利便性よりも自分のプライバシーの保護を望む住民についても、住基ネット導入の正当性は否定されないとした。
 住民側が主張した本人確認情報を利用した名寄せなどの危険性に、長門裁判長は「具体的危険性はない」と判断した。
 控訴審で、住民側は「自分の情報の開示を自分で決める権利(自己情報コントロール権)も憲法13条で保障されたプライバシー権に含まれる」とし「住民票コードを使って簡単に個人情報の検索、名寄せがされる」と主張。県などは「住基法などで目的外の利用を禁止しており、対策は十分」と反論した。
 住民側は1審で、個人情報の削除と国や県などに1人当たり22万円の損害賠償を請求。金沢地裁判決は「自己のプライバシーの権利を放棄せず、住基ネットからの離脱を求める住民への適用は憲法13条に違反する」と認め、賠償請求は棄却。県などが控訴した。


前回の大阪高裁は、行政側の逆転敗訴ですが、今回は住民側の逆転敗訴、憲法判断も全く逆で合憲とされました。これは、由々しき事態ですね。同じ制度に対して、二つの全く異なる判決、憲法判断。この裁判では、住民は上告する方針だそうです。大阪高裁の判決の時には、行政側が断然上告すると思っていたのですが、箕面市長さんは上告しない方針だそうです。しかし、個人的見解ではやはり上告すべきであったと思います。選挙の公約に従ったといことですが、もし最高裁で合憲の判断がでた場合は、どうなるのでしょうか。地裁高裁で判断が割れている以上、上告し最高裁の判断を待っても公約違反とは言えない気がします。
今回の原告は、上告するとのことなので、最高裁が判断を下すことになります。ここでは、住民基本台帳ネットワークの議論が深められ、その上で国民に対する説明責任が果たされることを期待します。
私自身の考えは、リスクがゼロには出来ない以上、リスクと便益が明らかになり、便益が上回れば反対する理由はないと思います。ただ、住基カードを作成しましたが、便利だと思えたことがないのが実情ですが。
反対派の論調も今一つ同調できません。情緒的に反対するのではなく、明確な説明がなされた上で判断すべきことと思います。
最高裁の憲法判断、注目していこうと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿