2007年6月11日月曜日

個人情報保護法改正 見送りか

国民生活審議会の個人情報保護法の部会が、同法の改正の見送りを答申するようです。論議の的であった個人への罰則導入は見送り、過剰反応は運用見直しで対応するようです。個人への罰則導入は、刑法との兼ね合いもあるのでしょうか。しかし、運用見直しといいますが、その具体的な指針などについては、報道からはまだ判りません。

以下は、朝日新聞と読売新聞Webからの引用です。

個人情報保護法の問題、「運用で対処」 国民生活審部会
 個人情報保護法のもとで必要な情報まで提供をためらう「過剰反応」をめぐり、国民生活審議会の個人情報保護部会(部会長・野村豊弘学習院大法科大学院教授)は11日、政府に法の正しい理解を広めるよう求める提言をまとめた。05年の全面施行以降の状況を検討してきた同部会が運用改善での対処にとどめたことにより、来年に予定されている見直しで法改正は見送られる見通しになった。
 同法は「個人データ」の第三者提供を本人の同意なしでは原則禁止とし、個人に関する情報を出すことをタブー視する風潮を作り出した大きな要因とされる。審議では本人の同意がなくても情報提供できる例外規定がわかりにくいとして法改正を求める意見も出たが、部会は規定が浸透していないことに問題があるとの立場に立った。
 相次ぐ企業の個人情報流出事件に対応し、個人への罰則や情報窃盗罪の創設なども検討したが、見送った。
 提言に盛り込まれるのは、個人情報をどう取得したか本人に開示する▽個人情報の利用停止を本人が求めたら自主的に利用停止に応じる▽個人情報の取り扱いを外部委託する場合は本人に伝える――といった事業者の取り組みの促進。あわせて、個人情報を委託、共同利用する場合、目的や利用者の範囲を明確にするよう求めている。
 部会はこれらも法改正ではなく、閣議決定した「個人情報保護に関する基本方針」の見直しなどで対応可能としている。
朝日新聞
2007年06月11日19時11分
個人情報保護法の改正見送りへ…内閣府部会で意見書最終案
 個人情報保護法を見直すかどうか検討している内閣府の国民生活審議会個人情報保護部会が、11日開かれ、意見書の最終案が事務局から示された。
 同法の全面施行に伴い、必要な個人情報が提供されなくなっている過剰反応については、「実態を十分に見極めながら、引き続き検討していく」として法改正を見送ることになった。この日の議論を踏まえ、月内にも意見書が安倍首相に提出される。
 同法は、衆参両院の付帯決議で、全面施行(2005年4月)から3年をめどに施行状況を検討し、必要な措置を取ることになっており、05年11月以降、部会で議論が続けられてきた。
 焦点は、地域や学校で名簿、連絡網などが作れないといった過剰反応の問題だった。同法では、「人の生命、身体の保護に必要で、本人の同意を得るのが困難」などの例外を除き、本人の同意がないと個人情報を第三者に提供できない。
 この日も、複数の委員が「同意を必要とする原則が厳しすぎる」などと指摘、本人の同意なしでも個人情報を第三者提供できるケースを広げるべきだと主張した。また、個人情報が有効に活用できることをもっと強調するよう求める意見も多く出された。
 しかし、「過剰反応は落ち着いてきている」との見方もあり、法改正の是非については意見が分かれた。このため、同法の運用について各省庁が作るガイドライン(指針)などで、引き続き法律の周知を図ることとし、法改正の必要性までは盛り込まれなかった。
 また、個人情報漏えい罪の創設には慎重な意見も強く、同罪の導入を求める意見があったことに触れる程度にとどめることになった。
��2007年6月11日21時23分 読売新聞)


個人情報保護法、色々と議論はあります。改正論から廃止論まで、様々な意見がありますが、私は個人的には必要な法律だと思います。何故なら、企業によって、自治体のよって、個人によって個人情報への考え方、取扱など濃淡があるのが現実です。慎重な取扱をする組織/個人とそうでない場合も差は著しいものがあります。そこで、法によるコントロールは、必要だと思うのです。何故なら、個人情報は金になり、悪用により、情報の主体者たる我々の損失に繋がるリスクがあるからです。
個人情報保護法、当初は人権保護法案などともにメディア規制三法案とか、汚職政治家/官僚保護法とも謂われ、亡くなった城山三郎氏も反対であったことは有名ですね。しかし、私は必要な法律という認識は変わりません。ただ、適切であるか、巷間言われるメディア規制の側面は事実なのか、等々見直しの議論、処置は必須であろうとも思います。今回は見送りのようですが、今後も必要であれば適切な議論と改正を望みますね。

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