それで、久し振りの話題ですが、本日打ち上げに成功した運輸多目的人工衛星MTSAT-2についてです。以下は、2006年2月18日の産経新聞のWebからの引用です。
宇宙航空研究開発機構は18日午後3時27分、運輸多目的衛星2号機を搭載したH2Aロケット9号機を鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げた。
ロケットは打ち上げの約28分後、太平洋上高度約300キロで衛星を分離、予定の楕円(だえん)軌道に投入し、打ち上げは成功した。
運輸多目的衛星2号機は、国土交通省と気象庁が運用する静止衛星で、昨年打ち上げた1号機「ひまわり6号」の予備、後継機。赤道上東経145度の静止軌道で、気象観測と航空管制を担う。順調なら打ち上げから約5日半で、高度約3万6000キロの静止軌道まで上昇。搭載機器の機能確認を経て、「ひまわり7号」と命名される予定。
気象観測業務では、1号機が不調な場合に代わって観測に当たるほか、2010年予定の1号機の運用終了後には後継機となる。また、航空管制では東経140度の1号機と2機体制で洋上の航空機の位置確認などに活用される。
H2Aは1月に8号機を打ち上げたばかりで、これで3回連続の成功。21日にはM5ロケット8号機の打ち上げも予定されており、国産ロケットの連続打ち上げは順調に進んでいる。
情報セキュリティのBlogなのに、今までも日本の宇宙開発関係の話題を取り上げてきましたが、今回もその路線です。とは言っても全く関係ないと言うことでもないのです。根気は、「バックアップ」がキーワードです。
今回の衛星は、昨年打ち上げられたMTSAT-1Rこと「ひまわり6号」と一緒に航空管制に用いられる他に、気象観測では’バックアップ’機となります。引用した記事にもあるように、ひまわり6号の故障時の代替機であると同時に寿命に達した時には直ちに後継機になります。これは、実用衛星科学観測衛星など日本の人工衛星では初めての体制です。
金融機関などは、ホットスタンバイのシステムを容易して、システムダウン時もシステムの継続性を確保しています。気象観測でも、これで、継続的気象観測体制が初めて整備されたことになります。私は、運用管理系のソフトウェアエンジニア出身なので、このバックアップ機という考え方に共感すること大です。バックアップは、不測の事態が起きたときの備えです。ですから何事もなければ、不必要と言われかねません。MTSAT-2は、バックアップであると同時に後継機であり、二重の役割を負っています。これは、投資の有用性を向上させたと、私は思います。
全てのシステムが、バックアップ機を用意し、ホットスタンバイ体制/継続性を整備する必要がありません。しかし、気象観測/航空管制という重要な機能でホットスタンバイ体制が確率したことは、国民生活にとってもメリットが大きいですね。
ひまわり5号の後継機の打ち上げが、H2Aロケットの打ち上げ失敗などで、延期続きで、一時は米国の中古の気象観測衛星を借用するという苦い経験をしました。これで、世界でも最新で最も高性能の気象観測衛星を持ち、しかもバックアップ体制継続体制もも整ったということは、画期的なことです。
情報セキュリティ、システム監査の観点からもバックアップや継続性というのは、大切な概念です。重要な社会的インフラともいえる情報システムを抱える企業や自治体、団体にも参考になる出来事だと思います。
(これからは、もう少し頻繁に更新します。では、これからも宜しくお願いします)
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