ところで、携帯電話の番号ポータビリティ制度が始まりましたが、ソフトバンクモバイルのシステム障害が報道されています。本件に関して思うところを。
以下は、読売新聞の10月31日付社説からの引用です。
[ソフトバンク]「社内も混乱させた『極秘作戦』」
携帯電話の料金を価格破壊しようとした志は買えるが、社内体制がお粗末だった。
携帯電話会社を変えても、番号をそのまま引き継げる「番号持ち運び制度」が、開始早々、トラブルに見舞われている。
業界3位のソフトバンクモバイルの事務処理システムが、多数の申し込みに対応できず、契約切り替え業務の停止に追い込まれた。
窓口まで出向いたのに切り替えができず、週末の貴重な時間を無駄にした消費者も少なくない。ソフトバンクはシステムの拡充を急ぎ、顧客に迷惑をかけない社内体制を構築する必要がある。
混乱のきっかけは、ソフトバンクが制度開始の前日に、「基本料が要るだけで自社間の通話とメールは通話料がゼロ」という「通話定額制」など、複数の新料金制度を発表したことだ。
劇的な発表で宣伝効果を高めるため、この作戦は極秘とされた。代理店はおろかシステム担当など社内の大半も、計画を知らされていなかったという。
百貨店やスーパーは特売をする時に販売員を増強する。「画期的な低価格」と銘打って、新料金制度を導入する以上、ソフトバンクも計画の概要を、事前に担当者に伝え、それに応じた準備をさせておくべきだった。 以下略
新料金体系の劇的効果を狙って、事前の準備が不十分であったというのが、この社説の論旨だと思いますが、私も同感です。
新しい料金体系、番号ポータビリティ制度。どちらも既存システムの大きな変更をもたらす制度改変です。事前の影響調査、システム変更管理、十分な受入れ試験などシステムとしての必要且つ十分な事前準備が必須ですね。しかし、システム担当も直前まで知らされていなかったようです。システム障害の原因が、いまだ不明というか明確ではないですが、ITマネジメント上の問題ははっきりと指摘できるように思われます。制度の変更に伴う、必要なシステム変更管理が適切に実施されなかったと推認されること、です。番号ポータビリティ制度に関しては、その発表から開始まで2年の期間があったので、この間はどうであったのしょうか? また、新しい料金制度の企画段階で、システムへの影響と対応についての検討はなされたのでしょうか。マーケティング上の効果が優先され、システムのみならず顧客サービスや社内業務への影響が軽視されたのでは、という疑問が拭いきれません。今後も、本件に関す報道を注視するとともに、ソフトバンクモバイルが説明責任を十分に果たすことが期待されますね。